HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)という言葉を最近耳にするようになりました。
普通の人が気にもとめないような出来事であっても、それを大きく受け止めてしまい、傷ついたり、思い悩んでしまうようなことが多く、この世の中で生きづらさを感じている人のことをいいます。
HSPの方が抱きやすい心境
HSPの方が抱きやすい心境を、少しまとめてみます。
あれでよかったのだろうかと思い悩んでしまう
「あとの祭り」という言葉もありますが、HSPの方はその言葉を知っていても、気持ちの方をすっきりと整理して前向きになるということは、とても苦手です。
それどころか、1mmも思い悩む必要のないこと(大抵はこれなのですが)まで、悶々と考え続けます。
例えば、飲み会などがあり誰かと会話をした後に、あれでよかったのだろうかと思い悩んでしまうことが多々あります。
思い悩み方も多岐にわたり、人によっても、その状況によっても様々なのですが、以下のようなことを考えたりします。
・あの場にとって、適切な話が出来ただろうか?
・話し方で相手に不快な感じを与えなかっただろうか?
・相づちの打ち方はあれでよかっただろうか?
・言葉選びが悪かったため、自分の話を誤解されて受け取られてしまったかもしれない。
人と会う前の恐怖
あれでよかったのだろうかと思い悩むことを、やめればいいとは当人もよく分かっています。
さらにその行為は、HSPの方にとってもとてもしんどいことなのです。
ですから、後々そうなることが分かっているため、その原因となる「人と会うこと」には、多かれ少なかれ恐怖と不安が混ざったような感情を抱いていることが多いです。
仕事でも、遊びでも、人と会う約束の前には次のようなことを考えていることが多いです。
・人と会ったときににこやかに出来るだろうか?
・発する言葉選びを間違えないだろうか?
・相手を不快にさせるようなことをしでかさないだろうか?
・会う人がイライラしていたりしないだろうか?
・会う人は、本当に自分に会いたいと思っているのだろうか?」
人との関わり合いの中で
人と関わり合う前と後とにおいてですら、気持ちが穏やかでないのですから、人と関わっているときの神経の使い方は尋常ではないです。
まずこんなことを考えます
・私はここにいてもいいのだろうか?
・会話が途切れたときに、どうしていいのか分からなくなる。
・きちんと会話に参加できているだろうか?
・このようなことを言ったら、相手は不快に感じるだろうか?
常に相手の反応を気にかける
・あの方の表情の変化は、何を思ってのことなのだろうか?
・相手が喜んでくれたけど、気を遣ってくれたのかもしれない。
その場にいる人の、言葉の変化、表情の変化、ちょっとした動作、視線の動かし方・・・
あらゆる情報を細かく受け止めてしまいます。
HSPの人はその場にいる人の反応を見て、大体ハラハラしています。
自身に関係している事柄であろうとなかろうと、関係ないのです。
さらに、その場がとても和やかで、誰から見ても問題がないから安心できるとか、そういうことでもないのです。
察知能力も高めです
ただ気を遣って、勝手に疲れて、結果的には思い込みをしているだけなんでしょ?・・・と思われるかもしれませんが、察知する能力も高めです。
常に正しい情報を受け取り、判断しているわけでもないのは確かですが、「誰かがイライラしている」、「その場の空気が悪い」、「どことなく浮ついている」などは特に感じやすく、空気が変わったことに気がつきます。
ものが壊されることが嫌い、ものを捨てられない
ものの状態が変わることは、案外と大きなストレスになります。
ものが壊されるときの大きな音や、ものに衝撃などの力が加えられ、激しく形が変わりゆく光景は、HSPの人にとっては衝撃的に映ることがあります。
また、目に見える変化でなくとも、ものの立場が大きく変わってしまう、捨てるという行為によっても心に負荷がかかります。
どことなく、ものを擬人化して捉えているのかなとも思います。
ものを壊す行為は、ものをいじめていると受け止め、捨てる行為は、ものを見捨てていると受け取るのかもしれないです。
単純にもったいないという気持ちとは少し違います。
強すぎる刺激が苦手
感情的に刺激が強いものは苦手
刺激の強い本、映画、音楽などがとても苦手です。
特に感情に訴えてくるような内容のものは、いい話も、悪い話も心が疲れます。
感情的に刺激が強い出来事は、日常生活の中でも多々あります。
微笑ましい光景はあるのですが、親御さんが子供を思いやる気持ちに触れることも苦手です。
ご両親の愛情とはとても深く、強いエネルギーだからなのかもしれません。
さらに、いつしかお子さんが親離れしていくときのご両親の心情、親御さんが亡くなっていくときの子供さんが抱く気持ちなどまで気持ちが及んでしまい、心が果てしなく疲弊します。
人混みは苦手
人混みがとても苦手です。
得意な人はいないと思いますが、HSPの方は人が思っていること、イライラしていたり、悲しんでいたり、うれしくて興奮していたりなど、いろいろな感情を受け止めて考えてしまいます。
本人が無自覚のうちに、よい感情も、悪い感情も受け止めてしまいます。
人混みとは、必ず一定以上のエネルギーを放つ人が、一定数いらっしゃるところなのです。
人の放つエネルギーは目には見えませんが、かなり強い刺激なのです。
心の回復力、記憶の忘却力はかなり弱め
今までかいたことに加えて、心の回復力や、記憶の忘却力がかなり弱めです。
過去に傷ついたことはもちろんのこと、傷つくほどでもないような出来事で感じたこと、などなど、とにかく長いこと反芻してしまいます。
出来事そのものを引きずっているというよりは、そのときに感じた感情から解放されないといった方が適切かもしれないです。
感度の高すぎる心
まとめてみると、感情、衝撃、エネルギー、出来事・・・
普通の人には適度な刺激が、異常に強く感じてしまいます。
それは持って生まれた感性なので、後天的にどうにかする手段は、今のところないと思っています。
例えば、ものすごく耳のいい人がいたとして、人が話すひそひそ話も、水のしずくが池に落ちる音もよく聞こえます。
そのくらい感度のいい耳を持つ人は、普通の話し声は大きくてうるさく感じることでしょう。
まして、工事現場のような大きな音を聞くことは、耐えられないでしょう。
でも、耳の感度を自由に変更できない。
そんな感じなのではないかと思います。
やり過ごし上手になりましょう
効果的で、即効性のある解決方法はないものの、上手にその心と付き合っていくことは可能だと思います。
必ずしもたくさんの人と関わらなくてもいいのです
プライベートな関係では
特に若い頃は、友達は多い方がいい、と思いがちなのではないでしょうか?
まずその考え方を改めてみます。
極々少ない、厳選した人たちとだけ交流していれば、しんどい感情に襲われる回数も程度も軽減することが出来ます。
極論を言えば、一人でいることが極めて心地いいのであれば、無理をして人と付き合う必要もないです。
社会生活の関係では
そうはいっても、人と関わることなく生きていくのも無理な話です。
そのときには、あらゆる感情に蓋をします。
少し慣れが必要ですが、喜怒哀楽のすべての感情を封印して、何事にも淡々と事務的に過ごします。
学校、会社などの人間関係を無感情でやり過ごし、人混みはただただ淡々と通り過ぎることに徹します。
何も感じないようにすることがとても大切です。
刺激の強い場面に近づかない
スクラップ工場など、自分が苦手なところには近づかないように生活します。
慣れるためにあえて近づいていこう、という考え方もありますが、おそらく効果はないと思われます。
目に焼き付いたものは、頭から離れずに、長いこと嫌は感情が残ると思います。
同じように、自分にとって刺激の強い本、映画、音楽は遠ざけておきましょう。
人間には怖いもの見たさ、という変な習性もありますので、うっかり見てしまったりしないようにしましょう。
どうにもならないときは
否応なく生活の中で起きること、逃げようと思っても逃げられない、感情に蓋をしてもその蓋を突き破るようにして襲ってくる・・・
そういうことはたくさんあります。
そんなときこそ「寝逃げ」をするのです。
寝逃げについてはこちらの記事をご覧ください—–>「自粛中は寝逃げでやり過ごす」
とにかく寝逃げをして心を守りましょう(^-^)
少し朗報
感度の良さも、年齢を重ねると目や耳などの機能が衰えていくのと同じように、わずかではありますが、鈍くなります。
その頃にはやり過ごすことも上手になります。
際だって楽になることは一生ないのでしょうが、それでも年齢と共に穏やかな毎日が過ごせるようになるものです。
そのことに気がつき始めると、よけいに気が楽になります。
よいこともたくさんあります
HSPだからといって悪いことばかりではありません。
得をしていることもたくさんあるのです。
考えられる、良いことを書いてみます。
・危険回避能力が高い
・きめの細かい作業が得意
・人の気がつかないようなことにも目が届く
・人の気持ちを分かることが多い
などです。
この能力においても、後天的に身につけるのは大変なものばかりです。
しなやかに生きていきましょう(^-^)
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